パンドラの箱の中には…

2019年11月、HIVの感染が発覚してからの日々を綴った36歳のゲイブログ

【HIV5日目・6日目】両親の来院

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11月23日 入院4日目。
熱は下がらず38.6℃。
熱が高くなると今つけている点滴と一緒に、
もうひとつ解熱用の点滴を1時間ほどかけて投与するが、それでも37℃台にはならない。

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この日は同じ階の別の個室に移動された。
かばんなどの荷物は一切ないので来ていたジャケットと靴を持ってベッドに寝たままベッドごと移動。

 

中野から北新宿を一望できて、さらにトイレやシャワーも併設されている良い部屋になった。
さらに入院費が怖いが、これもかからないらしい。
もしかしたら感染症は一旦は必ず個室で隔離させるのかもしれない。

 

この日は事務の方が来て入院手続きの書類を書かされた。
本当は当日に書くものらしいのですが、今まで体調が良くなくて書けなかった。
決してこの日もよいわけじゃないけど、どこかのタイミングでは書かなきゃいけないので仕方ない。
指を指した場所に言われた通りに住所と名前を書いていくだけ。

 

その医療ソーシャルワーカーさんが来た。
医療ソーシャルワーカーは医療機関などにおける福祉の専門職で、
入院等で医療費が高額になりそうなときなどに、
健康保険の限度額適用認定証の発行を手助けしてくれる。
というか、この人が全部その手続きをしてくれて、こちらも言われた通りに名前と住所を書いていくだけだった。

 

この手続きをするだけ、医療費に上限が設けられるそうだ。
(但し、病室代、入院時の食事負担、パジャマなどのレンタル品は除く)
僕の場合は約9万円くらいらしい。

 

 

HIV(入院)5日目:両親の来院

新しい個室でぼぉっと横になっていると、
部屋に見覚えのあるおっさんとおばさんが現れた。

 

自分の両親だ。

 

入院してから会社に一度も連絡をとっていかなったため、
会社から連絡が取れないと親に連絡があったようだ。

 

連絡を受け両親は僕の家に行き、
隣に住む大家から鍵を借りて部屋の中に入ったらしい。

 

自分も病院に行ってそのまま帰ってくる気でいたのに、
即入院しちゃったもんだから、
部屋の電気もテレビもエアコンもつけたまま。
洗濯機も回せられないくらい体調が悪かったので、
2週間分の洗濯物が溜まったまま。
飲んだペットボトルもそのままにしていた。
その光景を見た父親は失踪したのだと最寄りの警察署へ行き捜索願を出そうとしたらしいが、
母親はテーブルにある薬の袋から、自分がその病院に入院しているかもしれないと、
それで病院に行って受付に確認したら自分がいるということがわかり部屋を案内されたらしい。

 

自分がこー言うのも変だけど、親ってすごいよね。

 

モニターにかかれている自分の名前と科を見て、
「臨床検査医学科って、何の病気で入院してるの?」と母親が聞いてきた。

 

隠してもバレるだろうと思い、正直にHIVに感染して入院したことを告白した。
両親は開いた口が塞がらない。当然の反応だろう。

 

「退院して薬を飲み続ければ、とりあえず普通の生活ができるし、何も変わらないから。」
なんかそんなことしか言えない。
本当は普通の生活ができるのかも自信がない。
そんな状況を察したのか、両親が色々と普段通りの話をしてくる。

 

こっちに来る前に両親がある程度部屋を片付けてくれたらしい。
中には自分の気に入ってたバスローブとかも汚いからと捨てられたが、
まぁ、それは我慢するしかない。
一緒に病院内で過ごすためのスリッパとかも色々買ってくれたが、
どうせ部屋に行ったのならスマホを持ってきて欲しかった…。

 

HIV(入院)6日目:一時帰宅

看護師さんにお願いして、一瞬だけスマホを取りに帰りたいとお願いした。
最初は断られたが、スマホがないと勤務先の連絡先がわからず状況を説明できからと強くお願いしたら一時的に外出を許された。

 

病棟はロックが掛かっていてそのままは出られない。
入り口で腕につけたバーコードをリーダーにかざすとドアが開き外にでられるシステムになっている。
一時的にその権限をもらい外に出ることができた。

 

病院を出て地下鉄の切符を買おうとした時に異変に気がついた。
見えているものが二重に見えてしまい、切符売り場のタッチパネルに書いてある文字が読めないのだ。
2週間以上38℃以上の熱を出してれば、そりゃ目がおかしくなっても不思議ではない。
大体これかなっていう場所をタッチして切符を買い、家の最寄り駅まで行った。

 

家に帰るとそのままにしていたペットボトルや洗濯物がきれいに片付けられていたが、
ベッドに放り投げていたスマホだけはそのままだった。
スマホを持って、充電器、寝巻や下着を適当にかばんに詰めて、また病院に戻った。

 

入院費を一番気にしていたので、
一番最初に契約している保険屋さんに入院をしたということだけメールをした。
その後会社に電話をしようとしたが、HIVになったと説明することに躊躇してしまい、
しかし他に何も言い訳が思い浮かばなかったし、
文字が見ずらくてメールをするのもしんどかったので後回しにすることにした。

 

結局、勤務先に電話を入れて、HIVで入院したと話すまで1週間かかってしまった。