パンドラの箱の中には…

普段ゲイ生活の36歳。ゲイ生活の中で得たスキルや知識をアウトプットするゲイブログ。

ACT.3:YOU LIGHT A LAMP IN ME

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2018年3月7日。

 

初めて行く売り専。
前日寝付けないくらい緊張していた。

 

それなりに遊んでるし、
処女でも童貞でもないのに、
なんでこんな無駄に緊張しているのか、
自分で不思議なくらいだった。

 

時間になった頃、
指定された場所に向かいお店に電話をした。

 

「お電話ありがとうございます。
それでははじめ様がいらっしゃる場所に、
スタッフがお迎えに上がります。
本日のお召し物を教えていただけますでしょうか?」

 

なんてパーフェクトな電話応対なんだろう。
売り専と思って少々小馬鹿にしてたけど、
大手のコールセンターのような美しい電話応対だった。

 

その後、スタッフが僕のもとに来た。

 

「はじめ様でいらっしゃいますね。
本日は宜しくお願いいたします。
個室までご案内いたします。」

 

裏路地に入り、建物に向かうその途中途中で、
「今日は寒いですね。」
「うちのお店初めてなんですか?
みんな普通に緊張するものですから、心配ありませんよ。」
と声をかけてくれる。
この人もすごく丁寧な人でびっくりした。
そうしているうちに、建物に着いた。

 

中に入ると、完全個室のビデオボックスのような廊下になっていた。
おそらく6部屋くらいあるのだろうか。
一番奥の部屋に案内され、
ここまで案内してくれたスタッフは退いた。

 

部屋は5畳くらい、
ダブルベッド、2人かけ用のソファーとテーブル、小さなテレビ。
シャワーとトイレは他の個室を使う人と共用みたいだ。
サイフやケータイをしまえるセキュリティボックスも付いている。

 

キョロキョロ周りを見回しているとノック音が鳴り、
今度は別のカワイイスタッフが来て、
ウェルカムドリンクを聞いてきた。

 

ここでふと、理解した。
今日僕が指名した彼と、
限りなく同じ系統の、同じフォルムのボーイを、
迎えに行かせたり、ウェルカムドリンクを聞きに来させているんだと。
恐らく、次に来るときに指名してもらえるよう、顔を覚えてもらうためだ。
なるほど、よくできている。

 

緊張を紛らわすために、ビールを注文した。
しばらくそわそわしながら待っていると、
ついに彼が来た。

 

彼の第一声は、「はじめまして。」

 

つまり彼は僕の事を知らないんだ。
じゃあ、きっとただの似ている人なのかも。

 

僕もそれに同調して「はじめまして。」と発した。

 

彼が初めてであろうが、なかろうか、
普通にカッコいい。
ビデオで見たモデルそのままの人。
芸能人にあったような気分だ。

 

彼が僕の横に座った。
なんだか恥ずかしくて目を合わせられないで居た。

 

「実は、今日でここ最後なんだ。」

 

「え? あぁ、そうなんだ。」

 

まだ会って数分、
今でさえ緊張してるのに、2回目以降のことなんて考えてる余裕がなかった。
それでも、何か返さなきゃと思い、

 

「別のところにいくの?」

 

「うん。そこもゲイビデオ作ってて、売り専もやってるんだ。」

 

また会話が止まってしまった。
何してるんだろうな、自分。
5年前とちっとも変わっていない。

 

「シャワー行く?」

 

彼の言葉に相槌をして服を脱ぎ、バスタオルを巻いた。
彼が内線でシャワーの使用状況を確認し、
それから一緒にシャワー室に向かう。

 

彼がバスタオルを外したときに見えた体の特徴で分かった。
間違いなく、彼と5年前に会っている。
でも、今そんなことをいうのは気持ち悪いので、
初めて会っている体で過ごすことを自分の中で決めた。

 

でも体型は違った。
もやし体型ではないし、
肩幅が出て、胸板も厚くなって、腹筋もばきばきに割れた浅黒の逆三角形の綺麗なスジ筋体型。

 

シャワーから上がり、ベッドに座った。
緊張で何もできない自分を見かねて、
そっと顔を近づけてキスをしてくれた。

 

「初めて売り専を使用するから、いろいろリードされたいんだよね?」

 

そう言って僕はベッドに押し倒される。
乳首を舌で転がした後、上に戻り、
首筋にキスをされ、思わず声を発してしまった。

 

「首感じるの?」

 

わからなかった。ただ多分まだその時はくすぐったくて咄嗟に出たんだと思う。
彼は執拗に首筋を攻めてきた。
恥ずかしいけど、体を捩らせながらどんどん声が出てしまう。
自分は首弱かったんだと、売り専ボーイに教えられた。
首筋を責められるだけでも、少し体力使った。

 

その後、彼は口にチンコを押し付けて喉の奥をガンガンついてきた。
5年前の行為が徐々にフラッシュバックしてくる。

 

指を入れられ前立腺を刺激されるが、
5年前の比ではなかった。
あの頃でも声を抑えることに必死だったけど、
もう声を出さないとおかしくなりそうなほど、手マンがレベルアップしている。
何度かギブを出しそうになった。

 

「そんなんで根を上げたら、コレ、入らないよ?」
 そういってまた手マンの速度が上がった。


指を抜いて、ゴムを付け始めた。
両手いっぱいにゴムを広げてバチンと音を立てながら装着した。
前は普通に亀頭に被せてクルクル回してたのに、
ゴムの付け方までカッコよくなってる。

 

彼の巨根が入ってきた。
やっぱり大きくて苦しい。
根本まで入ったことを確認すると、
すぐさま勢いよくピストンが始まった。
僕は、歯が割れそうなくらいにくいしばった。
そうでもしないとおかしくなりそうなんだ。
さっきのに味をしめたのか、腰を振りながら首筋をずっとせめてくる。
歯を食いしばってるだけでは理性が保てない。

 

でも、ジムで普段鍛えているせいか、
彼のピストンのスピードが低下しない。
汗だくになりながらガンガン攻めてくるもピッチが変わらず、
それどころがどんどんハードに高速になっていく。
体位をコロコロ変えてもピストンのスピードに変化がない。
多分奇声に近い声を上げてたと思う。
自分の知らない自分がいた。
だんだん自分の視界が白くなってきて、
星が見えるってこういうことなんだろうって。

 

騎乗位になったとき、
すでに自分の下半身が震えて力が出なくなっていて上下に動かせない程になっていた。
それでも彼は容赦なく下から突き上げてくる。
もう彼のピストンに耐えられる体力がなくなり前に倒れ込んだ。

 

「だらしないなぁ。」と、
ちょっと笑いながら僕に言う。

 

「君が激しすぎるんだよ。」
少し息切れしながら彼に返した。

 

「そろそろイく?」
正常位になって、僕はピストンされながらそのまま射精した。
彼も高速でゴムを取り、僕の腹に向かって射精した。

 

射精後は何も声が出ず、動けなくなってた。
彼が隣で横たわり、自分の手を握ってくれる。
今回ばかりは激しくて途中死ぬんじゃないかって思ったけど、
5年前も確かこんなんだったなって。

 

自分の呼吸を整えた後に彼に聞いてみた。
「射精しちゃって大丈夫なの?この後お客さんとか…」

 

「もうしないよ。君がここでの最後の客だよ。」

 

 

少し話をする余裕が自分の中に出てきた。
ここからいろんな話ができた。
ゲイビデオの話も少しできた。
アフレコが苦痛で嫌だったとか、
演技するの好きじゃないのに演技させられたとか、
ただでさえ嫌なのに、台本も当日に渡されて覚える時間も取れなかったとか、
ちょっとした裏エピソードを聞かせてくれた。

 

最後に、一番聞きたかったことを聞いてみた。

 

それは、
「ゲイビデオに出たこと、売り専をやったことに、後悔をしていないか?」って。

 

「世界には60億人いて、
その中の1億2000万の日本人がいて、
その中の数少ないゲイの人がいる。
その中のさらに少ないコミュニティのごく一部の人が、
2ちゃんねるとかで俺の事を叩いているんだけど、」

 

「そんなの気にしたってしょうがない。」

 

僕は講義を受けているかのように、
彼の横顔を見ながらじっと聞いていた。

 

「うちで働いてみないかって声をかけてもらえた。
今日でここを辞めて、今後はそこのお店で働く。
特別自分に自信があるわけじゃないけど、
自分に需要があるなら、それに応えていくだけ。」

 

さっきまで天井を見上げながら話してた顔を、
最後、僕の方に向けて、にらみつけるような力強い目で話してくれた。

 

「だから、後ろは振り向かない。
自分は自分だから。」

 

今日僕がどうしてここに来たのかを、
既に全部知っているかのような返しだった。
その言葉に解き放たれた。
自分もちゃんと自分らしく、凛としていたいと思った。

 

シャワーを済ませ、帰り支度をし、
店の出口まで見送ってもらう。

 

「また会いたい。
今度はなんて源氏名で働くの?」

 

「まだ決まっていないんだ。」

 

「そっか…。じゃあ、絶対行くから、
それまで俺の名前、覚えておいてよ。」

 

「名前、教えてよ。」

 

「はじめ。」

 

「はじめ。絶対覚えておくよ。」
最後にキスをして、夢から覚めるように扉を締めた。

 

 

帰り道、最初に来た道なのに、
全然違った景色に見えた。
見るもの全てが新しく見えた。

 

自分のスランプの原因が見えかけていた。
全てにおいてそこに自分が居ないからだと気付かされた。
自分の意思や主張を持っているように見えて、
実は何も持ち合わせてなかったんじゃないか、
本当はブレブレだったんじゃないかって。

 

一旦、立ち止まって、Twitterを開く。
ツイートをオールクリアして、アカウントを削除した。
僕にはもうそんなもの要らない。
ゲイヒエラルキーの底辺を感じながら、
Twitterでゲイの人とつながるなんて、自分のしたいことじゃない。
人と比べたりなんてもうしない。

 

ピンクの出会い系アプリも削除した。
自分から動く事をせず、モバイルの小窓の中だけで恋愛を探そうなんて変だなって。
とりあえずmrmrって書いとけば、ヤれそうな人は何人も出てきそうな気がするけど、
彼ほど、僕を喘がせられる人はこのアプリの中にはいないと思う。

 

LINEや電話帳も整理した。
自分にとって大切な人だけ残して、
連絡をまともに取っていない人は削除した。

  

次の日会社では上司に頭を下げて、
自分のやりたいことをちゃんと伝えた。
これは後に成果は出せなかったけど、
自分の中でくすぶっていたものが無くなって今は晴やかな気持ちになってる。
退職願いは破棄した。
会社から戦力外通告を言われていない限りは、
まだ自分の需要はあるんだと自惚れてていいと思った。
自分の事を良しとしない人はほっておけばいい。60億人のうちの極々わずかな戯言だ。
でも何故か分からないけど、自然と周りの見る目が変わってきたように感じる。
もしかしら無意識で自らそういう壁を作っていたのかもしれない。

 

 

彼とはその後2度ほど、新しいお店で会っている。
名前もちゃんと覚えていてくれてた。
そこのお店では、結構売れまくってたみたいで、
ちょっと疲れているような気がした。
あきらかに精力も落ちていたけど、
それくらいが自分にはちょうど良かった。
むしろ、なくても良かったので、
指名するからご飯を誘おうとしたけど、それは断れてしまった。
「セックスしている方が楽。」なんだって。

 

 

スランプが無くなって、
自分の中で全てがちょうどよくうまくいきだした頃、
彼は新しい売り専も退店し、ホームページからも削除された。 

 

 

人生の中の一瞬の人だけど、
こんなにカッコいい男はもう自分の前には現れない気がしてる。
10才以上年下の人に、こういうことをいうのは情けないけど、
今はすごく感謝してるし、リスペクトをしている。

 

あの時、偶然スランプに陥って、
偶然ゲイビデオで彼を見て、売り専に行き、
偶然その日がその売り専の最後の勤務日だった。
こんだけ偶然が起こり過ぎているんだから、
この先そんな何度も偶然は起きない。


きっともう会えない人だけど、それでもいいかな。
だってもう、自分は自分だから。
後ろは振り向かない。