パンドラの箱の中には…

2019年11月、HIVの感染が発覚してからの日々を綴った36歳のゲイブログ

【HIV13~15日目】最初の試練

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退院した日の12月1日、
2ヶ月近く髪の毛を切ってなくてボサボサで白髪だらけだったので、
夜美容院の予約をした。

 

髪の毛はいつも渋谷にある美容室でお願いをしているが、
ここに行くまでもやっぱりしんどかった。
途中でどうしてもヘバって動けなくなってしまうので、
途中途中プラットホームのベンチで休みながら行き帰りした。

 

明日は、何を言われても甘んじて受け入れる覚悟で会社に行こうと決めていたので、
髪の毛を切ってさっぱりして、気合が入った…

 

…そんな気でいた。

12月2日 HIV13日目:上司のアウティング

家から職場まで普段は40分くらいだが、
歩くのが遅かったり、
途中でヘバって動けなくなったりして、1時間半かけて会社へ行った。

 

みんなが自分を見て大丈夫?どうしたの?何があったの?って聞いてくれる中、
数人、普段どおりに挨拶をしてくる人が居た。
その人たちに違和感を感じたが、まずは社長に直接話をして休んでしまったことをお詫びをした。
社長は「体力的に無理なら別に止めないけど、病気を理由で会社が解雇することはないから、とりあえず2、3ヶ月やってみたら?」と言ってくれた。

 

自分のデスクに戻ると、
フロアには自分と同じ部署で働く先輩が居た。
挨拶で違和感を感じた人の一人だ。
すでに彼は僕のHIVを知っているような感じがした。

 

他に誰も居なかったので、彼にも仕事に穴を開けたことをお詫びをした。

 

「でも自分の口から話さなくても、自分がHIVになったってことをもうすでに知ってたんですよね?」

 

すると先輩は、
「先週の金曜日、電話がかかってきた後すぐに聞いた。
俺の口からは聞かなかったことにしてくれと前置きを入れた上で。」

 

自分がHIV感染症になったことは誰にも言わないつもりで居た。
ただ1ヶ月間仕事を休んでいたので、上司には正直に電話で伝えていた。
社長には仕方ないけど、他の人には言わないで欲しいことを伝えている。
感染してから1週間、話す事を躊躇してやっと電話で話せた話を、
その上司は速攻で他の人にバラしたことになる。

 

彼は1ヶ月間、自分の仕事の穴を埋めてくれてた。
彼には言わなければいけないかなと思う一方、
自分は36歳、先輩だけど彼は30歳、
僕たちがずっと会社で働き続ければ、
自分がHIVであることを隠して仕事を続けていくことは、
定年が60歳だとしても、
約四半世紀ずっと僕の秘密を抱えて仕事を続けていくことになる。
誰かの秘密を抱えてずっと生活していくのは相手にとっても大きな負担になる。

どうしてそんなに軽々しく人の病気をバラすのだろうと、
殺したくなるほど腹がたった。
でも上司を問いただす気力も体力もなかったので、
そんなのも全部ひっくるめて3ヶ月は様子をみようと決めた。
その間にもし「彼には事前にHIVの事を伝えた。無断で伝えてしまって申し訳ない。」くらいの言葉が出てくれば、まぁいいかなくらいに思ってた。

 

12月4日 HIV15日目:仕事がもらえない、僕を避ける人がいる

1ヶ月近く仕事をしていなかったせいか、すっかりブラインドタッチができなくなって打ち込みがとても遅い。
仕事復帰したばかりだからか、それともまた休まれてしまうんじゃないか、仕事を全く振ってもらえない。
病気になる前のペースでの自分ができなくなってしまい自分の中で少し苛立ちがあった。

 

そんな中で気がついたのは、
カフェオレを作ろうとして自分が使った給湯室のポットや電子レンジを一部の人が避けるようになってた。
いつも電子レンジで温めた人が、急にお弁当を作り出したり、
コンビニで弁当を買いに行ってコンビニで温めてくるようになった。
自分の入ったトイレも使いたがらない。先輩もその一人だ。
中には普通に使っている人も居たので、そこで自分の病気を誰が知っていて誰が知らないのかがわかってきた。

 

わかっている。
HIVなんて薬害エイズか、性的にだらしないかのイメージしかない。
当然僕は薬害エイズではないので後者だ。
自分の下半身がだらしないが故にHIVになったのだから避けられたって仕方がない。
でもやっぱり孤独だった。
体力が落ちて体の自由がきかなくてしんどいこと、
会社で一部の人に避けられていること、
思ったように仕事ができないこと、
言いたいことが言えないこと、
病気のことを誰にも話せないこと、
そんなのがストレスになっていってる。

 

この頃、朝昼晩とカロナールを飲んでいて、
日中は37.2℃くらいまでは落ち着くようにはなった。
ただ夕方になると熱が上がってくるようで、夜になると37.8℃くらいになる。
シャワーを浴びることすらしんどい。
いつまでこんな日が続くのだろうかと、段々精神的に追い込まれていく。